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◆活字中毒◆


小説や映画のレビュー
【過去記事】江戸川乱歩『芋虫』ほか
評価:
価格: ¥ 561
ショップ: 楽天ブックス
コメント:思わず唇をなめてしまう

2014-4-7 別ブログより

 

おぞましくて妖しい小説が、すごい。
江戸川乱歩は母校の先輩です。

今は亡き小説ジャンル、探偵小説。
日本の探偵小説の親とも言える江戸川乱歩作品は、「怪人二十面相」シリーズで夢中になった人も多いかも。

今回読んだ『芋虫』を含む短編集は、乱歩の作品の中でも「奇妙小説」だったかな、とかに分類されるものだと思います。
おそらく大学の講義で表題作を見て、思わず文庫を購入したパターンで本棚に並んでいました。

『芋虫』
これは、恋愛小説なのかもしれない。
読むとどっと疲れて、汗をかく。
戦争で手足がなくなり、耳も聞こえず、しゃべることも出来なくなった夫とその妻の物語。
なかなか想像できない展開で食事中には読めません。

伏字の部分が多くて、底本が別のを買えば良かったと少し後悔した。
この文庫は、底本が伏字の部分をそのまま伏字で載せていて、解説にも原文がない。
現在の禁止用語を底本のままにするなら、伏字の部分は底本を補ってほしかった。
でもこの短編集を買ったきっかけはこれです。

『指』
王道ホラー。
場面がありありと想像できるような描写。ヒー

『火星の運河』
よくわからない世界観。ヤバイ。
なぜか官能的な気がするけど、話自体はそうでもない。

『白昼夢』
これはどっかで読んだ話だった。
超短編だけど破壊力があって、喉を溶けたロウが通っていくような不気味な感じがあります。
思わず唇を舐めてしまう。

『踊る一寸法師』
これはなんか濃い。
いつもニコニコしている人こそいざというとき本当にヤバイ。会社の先輩がそんな感じ。ヤバイ。
今までに読んだことがないタイプの小説かもしれないけど、いずれにせよ若干の意味不明さがあり、以前に読んだ東野圭吾の『黒笑小説』あたりを思い出します。

『夢遊病者の死』
割愛。

『双生児―ある死刑囚が教誨師にうちあけた話―』
これも読んだことがあった。
双子入れ替わりもの。この短編は、一人称目線の小説が多くてだんだん麻痺してくる。
どの人の人生にも、みんな、こういう秘密があるような気がしてくる。
飛行機が飛び立ったまま消えてしまうことがこのご時世にも起こるのだから、どこでどんな偶然や運命が重なったとしても、さして不思議ではない。
ちょっとありうることだから怖くて、たいがいありえないことだから小説として読めるのかも。
でも江戸川乱歩って、ぞっとするような描写が多くて困る。

『赤い部屋』
これはなんというか、読者を欺くような話ですごいおもしろい。
多かれ少なかれたぶん、私は「気持ち悪さ」っていう刺激を求めてこの本を読んだ。
で、この話は、そういう刺激をみんなで共有するために、要は百物語の奇妙な話バージョンを雰囲気たっぷりの部屋で開催してる団体にきた新人さんの告白した話。
今までにないスケールの大きさと彼の告白の衝撃に飲まれていく面々、その結末は…という話。

『人でなしの恋』
この話がいちばん好き。
誰も憎めない、仕方がないのかな。
夢のような結婚生活と、その結末のお話です。
桜が散る公園のベンチでこの話を読んでいて、
切なさ倍増でした。
あとこの話は、ずっときれい。
近松門左衛門の浄瑠璃みたいな雰囲気だと思う。
いやこれ浄瑠璃化できるよ。すごいよ。
読んで良かった。

|13:16| 小説 | comments(0) | trackbacks(0) | posted by 鳥皮女 - -
【過去記事】岸本佐和子『ねにもつタイプ』
評価:
価格: ¥ 648
ショップ: 楽天ブックス
コメント:あとがきまでもおもしろい

2014-4-11 別ブログより

 

ヘンオモ。
この人の本業は、たぶん翻訳家。
なんだけど、ありあまる想像力が溢れたものを
かたちにしたのがこのエッセイだと思います。

すごい変。
すべての章に対して「ちょっと何言ってるのかわからないです」という感想がふさわしいです。

徹底している。あとがきの短い文章にも、本編のかけらがある。

あとがきと、文庫版あとがき、それぞれから冒頭を抜粋する。

あとがき
「タイトルがタイトルなだけに、たまに「そうなんですか?」と訊かれたりするのだが、けっして私本人がいろいろなことを根にもつタイプの人間だというわけではない。たぶん。」

文庫版あとがき
「文章を書くときは、いつも「こんなものどうせ誰も読んでいないだろう」という、いじけた後ろ向きな気分で書いている。」

このあとがきを読めただけでも、私この本を買ってよかったと思うの。

|13:11| エッセイ | comments(0) | trackbacks(0) | posted by 鳥皮女 - -
【過去記事】小川糸『あつあつを召し上がれ』
評価:
価格: ¥ 432
ショップ: 楽天ブックス
コメント:おなかがいっぱい、幸せ。

2014-5-8 別ブログより

 

『食堂かたつむり』を読んだ時、食べ物の描写がすごくおいしそうで、何度も生唾を飲んだことを覚えています。
今回は7編の短編集。心が温まる、食にまつわる物語…かと思いきや、途中で超裏切られます。

1番印象的だったのは『親父のぶたばら飯』。
これは中華料理屋さんでの話なんだけど、もう出てくるものの一つ一つが、私の視覚情報から料理が生成されてすでに胃で消化されているような、そんな不思議な気分になれるほどリアルな幸福感をもたらしてくれる。
登場人物がそれを口に含んだ時、味わった時、嚥下した時のその気持ちを、私も知っているような気がする。

そのほかによかったのは、『さよなら松茸』。
これは温泉旅館の、松茸料理のお話。旅館のあのなんとも言えない満足感と、しっとりした寂しさと、松茸料理が、この話の何とも言い表し難い感情を引き立てているように思います。

ほかも全部おもしろかった。
ああ、いい本に出会えた。

|13:09| 小説 | comments(0) | trackbacks(0) | posted by 鳥皮女 - -
【過去記事】川上弘美『ニシノユキヒコの恋と冒険』
評価:
価格: ¥ 561
ショップ: 楽天ブックス
コメント:彼に出会ったが運の尽き

2014-6-18 別ブログより

 

ニシノユキヒコというしょうもない男の上を通り過ぎていった、十人の女が語る物語。
ニシノユキヒコは誰も愛さないけど、誰にでもすり寄っていく。

女たちはほぼ、それに気付く。
自分は愛されていない、ないし、彼の後ろにいるたくさんのほかの女に気付く。

時に愛すまいと、時に愛していない、愛せない、好きじゃない、と言いながら、彼女たちはニシノユキヒコのそばにいて、やがては去っていく、去られていく。

ニシノユキヒコは自分から去るときも、悲しい顔をするところが、ずるい。
まるで自分が捨てられたかのように振る舞うし、焦ったように「僕と結婚しようよ、」とか言う。
結婚なんてできないくせに、なんてずるい。

だから、彼に惹かれてしまうのは仕方のないことで、もう出会ってしまったことが運が悪いと思うしかない。

ああ、こういう人には、会いたくない(笑)

心に思い当たるところのある方、特に女性、少し壊れてしまう恐れがあるので、読まないことをおすすめする。
 

|13:03| 小説 | comments(0) | trackbacks(0) | posted by 鳥皮女 - -
【過去記事】綿矢りさ『かわいそうだね?』
評価:
価格: ¥ 540
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コメント:三十歳のアキヨの破壊力にびびる

2014-6-22 別ブログより

 

女性だけではないかもしれないけど、目に見えないカースト制度は現代にも、これからも、存在する。
大人になって、自分の位置は、自分の身につけるものに反映されると感じている。
安っぽい服、安っぽいデザイン、安っぽい化粧は、自分という人間までも安っぽくさせるような気がする。
いい服、は着れなくても、それなりに「見える」ものを身につけていたい。

 

表題作の『かわいそうだね?』は、百貨店に勤める樹理恵が、恋人の隆大に元恋人のアキヨを居候させると言われるところから始まる。
アメリカ育ちの隆大、現地で出会って日本に帰ってきたアキヨ、当然反対していた樹理恵も、文化の違いかも?ということで自分を抑え込む。
久しぶりの隆大との旅行で、こっそり彼の携帯を見た樹理恵、その後の行動は本編で!

百貨店のアパレル店員だから、樹理恵のまわりにはいつも、キラキラした服、アクセサリーがある。
流行を取り入れて、メイクもバッチリ決めて、自立した彼女にふさわしい。

火種のアキヨは、こんなふうだ。
「彼女はうすいピンク色のブラウスに、濃いベージュの裾が広がったスカートを穿き、ひもの切れそうなミュールを素足にひっかけていた。三十歳にしてはだいぶチープな身なりだった。長い薄茶の髪は根元が黒く、毛先が傷んでいるのかスカート同様に裾が広がり、化粧は薄く、しゃべり方は舌ったらず。」

チープ、という言葉を除いたところで、アキヨの持つみすぼらしいオーラはサーっと頭に入ってきて、イライラする。

「でもこういう女の人のほうが、勤め先のブランドの洋服を着て営業用のフルメイクをしている私よりも、隙がありそうでモテるんだろうな、とも思った」と樹理恵の感想は続く。

人にすがることのできるやつ特有のみすぼらしさ、本能的に男の人の心をくすぐることができる女の人。
現実にいると腹が立つけど、物語を盛り上げるには素晴らしい存在である。

すっきりしない、なにかしこりがのこる、けどまあ明日もがんばるかなあ、とぼんやり思えるお話です。

|12:58| 小説 | comments(0) | trackbacks(0) | posted by 鳥皮女 - -
【過去記事】唯川恵『燃えつきるまで』
評価:
価格: ¥ 575
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コメント:すごくエネルギーが要ります

2014-6-26 別ブログより

 

ストーカーって、そんなに早く立ち直れるものなのかしら。
怜子は31歳、住宅リフォーム会社で働いていて、付き合って5年になる恋人の耕一郎がいる。
耕一郎から別れを告げられるところから、物語は始まるんだけど...


相手は自分を嫌いになったわけではない
自分はまだ相手を好き、愛している

私がこんなに苦しんでいるのに、相手だけが何事もなかったかのように私のいない日々を過ごしているなんて許せない

相手の記憶からいなくなってしまうなら、憎まれてでも忘れずにいてもらえる方がまだマシだ

これがストーカーの思考回路。
とても共感できる。

結局怜子は、最後には立ち直ることができるんだけど、あの雲が晴れる感じ、いままで固執していたことが本当にどうでもよくなる感じ、すごく文章に表れていて吃驚した。

この人ももしかしたら、もしかするかも。

|12:09| 小説 | comments(0) | trackbacks(0) | posted by 鳥皮女 - -
【過去記事】江國香織『号泣する準備はできていた』

2014-7-9 別ブログより

 

・この本を選んだ理由
久しぶりに江國香織のぼんやりした小説が読みたくなったので。

・感想
久しぶりすぎて、ぼんやりした世界観に若干ついていけない部分あり。
すべての作品に、そこから沁み出す悲しさ、ひんやりとしたやるせない雰囲気が流れている。

頭皮と髪がずれたような、背中から這い登るじわじわした違和感、もどかしさを感じるのは「じゃこじゃこのビスケット」。

高校生の頃の、どうしようもない初デートの思い出が語られるが、この主人公が、どうしようもない。
会話も上手くなく、でたらめばっかり(例えば処女は嫌がられるから本当に好きな人と出会う前には捨てておかなければならない、とか)信じていて、もうあなたはこの時点でいろいろと出遅れているのに、「大人の度肝を抜くようなこと、は、みんな彼らが先にやってしまったと思っていた。残っているのはじゃこじゃこのビスケットみたいなものばかりだ、と。」なんて書いている。
ちなみにじゃこじゃこのビスケットとは、「削ったココナッツだの砕いたアーモンドだの、干した果物のかけらだのが入ったビスケットのことだ。舌触りが悪く、混乱した味がするので、我家の人間はみんな嫌っていた。到来物の詰合せの中で、だからそれらは最後まで残る。」のこと。

垢抜けなくて、思慮が足らなくて、本当に嫌になる主人公だけど、この「十七歳の時点で既に人生出遅れてる感」は共感できる部分がある。
同い年の女優や、秀でた才能の持ち主がテレビに取り上げられる度に、そう思ったものだ。

今でも空気を読むのに失敗した時、「ああ今ではなかった」と頭の中がひいひい言う時、あのぞっとするような違和感に襲われる時がある。

たぶん、厨二病の人が正気に戻った感覚を薄めた感じの。

主人公の彼女のように、じゃこじゃこのビスケットみたいなことばかりでは全然なかったけど、でも、誰の中にもある、じゃこじゃこのビスケット。
これが一番、この短編集の中でわたしの心をざわざわさせました。

|12:03| 小説 | comments(0) | trackbacks(0) | posted by 鳥皮女 - -
【過去記事】小林多喜二『蟹工船』
評価:
価格: ¥ 432
ショップ: 楽天ブックス
コメント:文体から伝わるもの

2014-7-24 別ブログより

 

・本書を選んだ理由
以前より興味があったので。

・感想
蟹工船、蟹の缶詰製造のために北海道からオホーツク海へ出航した船のお話。
蟹を漁獲し、船の中で缶詰加工する設備を備えている。当時は法整備が追いつかず、工場法も航海法も適用されず、まさに無法地帯であった。

本当に読みにくい文。
でもそのごちゃごちゃのノートみたいな文体から、船の中の悲惨さが感じられる。
不衛生極まりない環境、風呂にはほとんど入れないから垢が溜まる、体が痒くて掻いたら薄壁のように剥がれてくる。
長時間労働、暴力、暴言、仲間内での性暴力、栄養失調、病気、この世のありとあらゆる嫌なものを集めたような船。

季節労働に身を窶す労働者たちが主人公で、決まってひとりの人物が描かれるわけではない。

読むとなんだか胸にかーっとくる後味の悪さがあるので、食事の前後は読まない方がいいと思う。
短くてさくっと読める名作なので、青空文庫でひまなときに読んでみてはいかがか。

これを読んで、清潔なところにいられるぶん現代なんてまだましかと思ったけど、そうやって思うことこそがもうおかしいんだろう、世界基準では。

うーん、日本育ち。

|12:00| 小説 | comments(0) | trackbacks(0) | posted by 鳥皮女 - -
【過去記事】芥川龍之介『藪の中』
評価:
価格: ¥ 421
ショップ: 楽天ブックス
コメント:この何ともいえない気持ちの悪さは味わってみてほしいです。

2016-8-13 別ブログより

 

大学の講義でやって、青空文庫放浪中に見つけたので再読。

竹やぶの中で侍がひとり殺されていて、現場には太刀と縄が残されていた。
そこで何があったのかについて、侍が(正確には侍とその妻)道中出会った人、妻の親、盗人、妻、そして殺された侍の亡霊にそれぞれ語らせるという流れ。

結果として辻褄は合わず、真相は藪の中、というわけ。
事実は小説より奇なりというけど、実はこういうことって現実世界でよく起こっているんじゃないかな。
この前の大阪女児火災死亡事件の無罪判決をなぜか思い浮かべた。

もっと余談だけど、盗人が侍に戦いを挑むときに、「太刀打ちしろ」と声をかけるのね。
意味としてはまあ「タイマン張れよ」みたいなことと思うんだけど、「こんなんじゃ太刀打ちできないよ」の太刀打ちって、これが語源なのねえと納得したのでした。みんな知ってるかも。

大学を卒業してから、だいぶこのへんの年代の活字から離れていたけど、久しぶりに読むとやっぱりおもしろい。
青空文庫活用してこれからちょこちょこ感想を書こうと思いまする。

|11:47| 小説 | comments(0) | trackbacks(0) | posted by 鳥皮女 - -
ご無沙汰してしまいました。

 

もうずいぶんと長い間、長編小説はおろか、短編小説も、コミックでさえも、新しいシリーズを買ったりしていません。

素敵な作品はいくつも触れました。映画も、劇場でも割とよく観ています。いつの間にか、人と映画を観るよりも、一人で観る方が好きになっています。

 

自覚があるのに進化しないから質が悪いのですが、昔から感覚だけで生きていて、ただそれを言語化することがどうしても難しく、その練習と、どこかにそれをわかってくれる人がいるような気がして、このブログを開設しました。

 

大人になってからも、微妙に周辺の方には伝わりきらない日常を送っています。

 

そしていつしか諦めていたみたいなんです。伝えることを。

びっくりしました、いざ言葉にならない部分をわかってくれる人に出会ったのに、研いでない刃はなまってしまって役に立たないのです。それどころかもう、それ以前に思考を出力する方法さえ忘れてしまっているようなのです。脳みそがもう、考えていないまま、感情の垂れ流しのまま、ここまで来ていたことに気付いたこの絶望感は、血の気が引くことも許さず、ただただ、苦しい。

 

だからもう一度私を取り戻さなくてはいけないと思いました。

感じて、考えて、それを伝える術をもう一度練習していかなくてはと。

 

大事な私の場所。もう誰にも何も言わせない。

|11:41| その他 | comments(0) | trackbacks(0) | posted by 鳥皮女 - -
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